化学強化ガラスとは?

化学強化ガラスとは?

化学強化ガラスの原理(別名:イオン交換強化)

  • ガラス転移点以下の温度(例えば400°C)
  • 硝酸カリ溶融塩(KNO3)にガラスを浸漬
  • ガラスの表面のNa+イオンが溶融塩中のK+イオンと交換

交換前
歪点以下(400~450°C程度)でNa+とK+のイオン交換を行う
交換後
イオン半径が大きいK+が入ってくるが、骨格に阻まれて広がることができないので表面近傍に圧縮応力が発生する

「Na+」イオン半径0.95Å  < 「K+」イオン半径1.33Å
※オングストロームÅ(10-10 m=0.1nm)

矢印
室温に冷却すると表面に圧縮応力が発生する


物理強化と化学強化の断面応力分布例

化学強化ガラス
化学強化ガラス
物理強化ガラス
物理強化ガラス

化学強化の圧縮応力は物理強化に較べて非常に高く、引張応力は非常に低い。

化学強化ガラスの特徴 抜群の多様性

  • 自然破損しない      :中央引張応力が非常に小さいため、自然破損しない。
  • 優れた機械的強度     :フロートガラス < 物理強化ガラス ≤ 化学強化ガラス
  • 信じられないような曲げ強度:大きく撓んでも割れない
  • 引っ掻き傷に強い     :表面の高い圧縮応力により傷が付きにくい
  • 熱衝撃強度に強い     :薄板はフロートに較べて数倍の熱衝撃に耐える
  • 光学的な歪みがない    :低温処理の為、フロートと歪みの差がない
  • ガラスの変形がない    :低温処理による形状の変化がない
  • 厚さや形状の制約がない  :1mm以下の板厚でも可能 曲げや異形も可能
  • 軽量化          :板厚を下げても同じ強度のガラスが可能
  • 小さい寸法ができる    :物理強化ガラスに較べて寸法制限が少ない

化学強化ガラスと物理強化ガラスの特性比較

項目名化学強化ガラス物理強化ガラス
製造タクト数時間数十分
処理温度(最高)450℃程度650℃程度
光学歪み生板同等若干あり
変形(反り、撓み)生板同等若干あり 0.5%程度の反り
自然破損皆無対策が必要(ソーク、フィルム貼り)
表面圧縮応力(MPa)300~800100~120
中央引張応力値(MPa)非常に低い圧縮応力の約1/2
加工可能な板厚制限無し(3.2mm以下でも可能)制限あり(3.2mm以下は不可能)
加工可能な形状特別な制限は無い肉厚差の大きい製品は均一な強化が難しい

PageTop