化学強化ガラス(サンケミカル)
自然破損のないガラス
硝酸カリウム溶液にガラスを浸漬させ、ガラス素材に含まれるナトリウムイオンとカリウムイオンを置換することにより、風冷強化ガラスの5倍以上の表面圧縮応力を持つガラスとなります。
三芝硝材では、2015年5月に大型化学強化炉を導入し本格生産を開始し、
これまでに、51,000枚以上、24,500㎡以上の生産・販売実績があります。
平板だけでなく、曲げガラスも化学強化することで強度アップさせることが可能です。
施工部位 |
外装:サイン/手すり/ドア 内装:壁/インテリア/サイン/パーテーション/手すり/ドア |
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使用建物 | 商業ビル・店舗/戸建住宅・マンション/高層ビル/公共施設 |
製造範囲 |
製作可能ガラス厚:0.5mm~19mm 最大サイズ:2,000mm×3,000mm オーダー最少枚数:1枚からご注文頂けます |
特徴 | 自然破損しない。 |
オプション |
- 外壁へのご利用の場合、ご相談ください。
- 曲げガラスの場合、形状、寸法、厚みにより製造可能範囲が変動いたします。
- 製造可否につきましては都度お問合せください。
化学強化ガラスとは
●化学強化ガラスの原理(別名:イオン交換強化)
- ガラス転移点以下の温度(例えば400°C)
- 硝酸カリ溶融塩(KNO3)にガラスを浸漬
- ガラスの表面のNa+イオンが溶融塩中のK+イオンと交換
歪点以下(400~450°C程度)でNa+とK+のイオン交換を行う
イオン半径が大きいK+が入ってくるが、骨格に阻まれて広がることができないので表面近傍に圧縮応力が発生する
イオン半径「Na+」 < イオン半径「K+」 室温に冷却すると表面に圧縮応力が発生する
化学強化ガラスの特徴
- 自然破損しない:中央引張応力が非常に小さいため、自然破損しない。
- 優れた機械的強度:フロートガラス < 物理強化ガラス ≤ 化学強化ガラス
- 信じられないような曲げ強度:大きく撓んでも割れない
- 引っ掻き傷に強い:表面の高い圧縮応力により傷が付きにくい
- 熱衝撃強度に強い:薄板はフロートに較べて数倍の熱衝撃に耐える
- 光学的な歪みがない:低温処理の為、フロートと歪みの差がない
- ガラスの変形がない:低温処理による形状の変化がない
- 厚さや形状の制約がない:1mm以下の板厚でも可能 曲げや異形も可能
- 軽量化:板厚を下げても同じ強度のガラスが可能
- 小さい寸法ができる:物理強化ガラスに較べて寸法制限が少ない
抜群の多様性
ショットバック試験 ・建築用ガラスの人体衝撃に対する安全基準は、強化ガラス、合わせガラスのJIS(JIS-R3206,3205)の中に規定され、45㎏ショットバッグ試験が定められています。加撃体(45㎏鉛粒入ショットバッグ)を落下高さから振子上に落下させて中心点付近を加撃しガラスを破壊する評価法です。この基準では、人体衝撃に対するガラスの安全性は、ガラスが割れないことよりも、万一割れた場合に、人体に対して安全な割れ方をすることが、重要とされています。
■試験結果
・フロートガラス3ミリの合わせガラス(FL3+PVB45+FL3)に、ショットバッグ試験を実施したところ、
120㎝の落下高さでガラスが破壊しました。中間膜の効果で貫通することはありませんでした。
・次に、同じ厚さの化学強化3ミリの合わせガラス(CT3+PVB45+CT3)に同様の試験を実施したところ、
試験装置の最大高さである230㎝の落下高さで加撃しましたが、ガラスを破壊することはできませんでした。
4点曲げ試験 ・化学強化ガラスの強度を主に4点曲げ試験で評価。
・サンケミカル5ミリ(CT5)の強度を、同厚5ミリ厚のフロート生板(FL5)と物理強化ガラス(PT5)と同じ試験で比較。
■試験結果
破壊までの撓み:FL5=10mm、PT5=34mm、CT5=50mm。
化学強化ガラスは大きく変形しても割れにくいガラスです。
化学強化ガラスと物理強化ガラスの応力分布
■物理強化ガラスの弱点・表面を急冷するため板厚の1/6程度が圧縮応力層、中央の4/6程度が引張応力層になっています。
・強化ガラス内に稀に残存する不純物が、引張り応力層内にあり体積変化を起こすと、
外力が加わっていない状態で不意に全面破損する場合があります。(自然破損)
化学強化ガラスは表面の薄層に高い圧縮応力が存在していますが、
内部の引張応力値が低いため、自然破損が発生しません。
また、加熱・冷却のプロセスを経ませんので、光学歪にも優れています。